世界の記憶「上野三碑(こうずけさんぴ)」めぐりと上州ブランド二題②
目次
2 藤原不比等の名も刻まれている和銅四年(711)銘「多胡碑」と多胡碑記念館へ
2 藤原不比等の名も刻まれている和銅四年(711)銘「多胡碑」と多胡碑記念館へ
本題に戻って、いざ多胡碑へ。吉井駅より徒歩約30分、鏑川に近い吉井いしぶみの里公園の一画に石碑と多胡記念館が建っています。公園の桜が今は盛りと咲き誇っています。石碑自体は覆屋の中に納まり、ガラス越しに見ることになります。ボランティアの方の説明を聞きながら、じっくりと見学。
吉井いしぶみの里公園に咲き誇る桜
多胡碑の覆屋
続いて記念館にまわります。館の入口前には南高原1号墳(横穴式石室、7世紀)・片山1号墳(粘土槨、4~5世紀)の2基の小振りな円墳が来館者をお出迎え。
多胡碑記念館は1996(平成8)年開館。
・開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
・休館日:年末年始(12月28日~1月4日)
・観覧料:一般200円・大学生100円、高校生以下・65歳以上無料
(但し現在「世界の記憶」登録記念で無料)
南高原1号墳
片山1号墳越しに多胡碑記念館を望む
多胡碑記念館
まずは、記念撮影コーナーでパチリ。
記念撮影コーナーで多胡碑とツーショット
身の丈166cmと比べて石碑の大きさを実感
館内には「多胡碑」「山上碑」「金井沢碑」の実物大レプリカが展示されているほかに、「那須国造碑」(栃木県)、「多賀城碑」(宮城県)、「仏足石」(奈良県)、「宇治橋断碑」(京都府)などのレプリカも展示・解説されていて、日本古代の石碑を俯瞰できます。
上野三碑を紹介する多胡碑記念館のパンフレット
「711(和銅4)年の多胡郡設置を伝え、国の歴史書『続日本紀』と一致する内容を刻む。大陸伝来の書風を残し、書道史上の評価も高い」(多胡碑記念館パンフレットより)。
80文字の碑文の解釈については部分的に諸説あるようですが、六国史の建郡記事にぴたりと符合する内容が遷都直後の平城京からはるか離れた「多胡の地」(つまり胡人〔渡来人〕の多く住まう土地?)に建立された碑文に刻まれていることの歴史価値は大きい。
碑文の最後には「藤原尊」(=藤原不比等)ほかの名前が刻まれていて、歴史上の人物をリアルに実感できるのもこの石碑(いしぶみ)ならではの醍醐味でしょうか。
和銅4年といえば、あの和同開珎が鋳造・発行されたといわれている和銅元(708)年の3年後のこと、はたして新設された多胡郡の人々はこの銭貨を使っていたのでしょうか。すぐ南隣の武蔵国秩父郡が和同開珎発祥の地だと知っていたでしょうか。
博物館グッズは、定番の絵葉書、封筒・便箋から三碑の拓本、缶バッジ、手ぬぐい(三碑の碑文が染め抜かれている)、ジュートバッグで多彩。
次にまわる山上碑、金井沢碑には石碑のみで詳しい展示・解説をする施設がないので、祈念館で両石碑の知識も仕入れます。
三碑の造立年(西暦)をロゴにあしらったジュートバッグと缶バッジ
*次頁 3 上州ブランドその二:剣術の神髄を今に伝える馬庭念流道場