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明大生の推しミュージアム[昭和館]九段下にて戦中・戦後の国民生活の労苦を知る

2024/03/19公開
明大生の推しミュージアム[昭和館]九段下にて戦中・戦後の国民生活の労苦を知る


はいさい!

明治大学博物館学生広報アンバサダーの富名腰 大夢(フナコシ ヒロム)です。

今回、私は日本武道館のすぐ近くにある「昭和館」に行ってきました。このあたりに来たのは沖縄から上京して参列した入学式以来なので、わずか1年前のことながら懐かしく感じました。


昭和館は、今から約90年前となる戦中・戦後(昭和10年頃から昭和30年頃までを指すそうです)の国民生活上の労苦について歴史的資料・情報を収集、保存、展示し、後世代の人々にその労苦を知る機会を提供する国立の施設です。館内は7階から6階にかけては戦前、戦中、戦後の並びで資料が展示された常設展示室、5階が映像・音響室、4階が図書室になっています。


昭和館 - 昭和館は、国民が経験した戦中・戦後の国民生活上の労苦を後世代に伝えるのを目的とした、東京都千代田区九段南にある日本の国立博物館です。実物資料の常設展示をはじめ、特別企画展や図書・映像・音響資料の閲覧事業を実施しています。昭和館は、国民が経験した戦中・戦後の国民生活上の労苦を後世代に伝えるのを目的とした、東京都千代田区九段南にある日本の国立博

www.showakan.go.jp


食事の変化

国民生活の労苦の展示で興味深いものを見つけたので紹介します。



昭和12(1937)年頃、東京での食事

これは戦前である昭和12(1937)年頃の東京での食事を再現したもので、米飯にコロッケ、ひじきの煮付け、すまし汁、漬物という献立です。現代の家庭料理とあまり変わらないことに驚きです。ただ、昭和19(1944)年になると献立が次のように変わったそうです。



学童疎開先での食事、左が昭和19(1944)年10月13日夕食、右が同年10月28日昼食


こちらは疎開先の学童の食事になるのですが、夕食の方は大豆を入れて、かさを増した米飯に香物、野菜のみのシチューです。品数が減って、色どりも乏しくなっています。育ち盛りの食事としては、だいぶ寂しいです。

また、戦後直後になるとこちらとなります。



闇市の食事、上が粗製酒であるカストリ焼酎にモツ煮込み、下が進駐軍から払い下げた残飯シチュー


戦後は少し色取りが戻ったように見えますが、シチューの具材は進駐軍から払い下げた残飯です。タバコの包み紙が混入していたこともあったそうで、あまりにも酷い食事です。当時の人々はお腹を少しでも膨らませることで精一杯だったのだと思います。


統制の影響

昭和13(1938)年、あらゆる人や物を国が動員することを認める「国家総動員法」が制定されました。その他にも人々の生活を国家が統制するようになり、食事だけでなく様々なことに影響が及ぼされました。



米英語追放の一環で芯の硬さの表記が改められた鉛筆、右端に「中庸」と表記


こちらの写真の鉛筆は芯の硬さが「中庸」と書かれています。これは米英語の追放の一環で行われ、「中庸=HB」、「軟=B」、「硬=H」、「二軟=2B」に表記を改めたそうです。

また物資統制では、鉄はもちろんのこと革なども対象となり、日用品が従来の材料から作ることが出来なくなりました。そこで登場したのが写真の用具となります。



左上が竹製のランドセル、その右がファイバー製の塵取り、下段左端が竹製スコップ、

その右は陶製アイロン


左上のものは竹で編まれたランドセルで、革の代用品として布や紙で作られることもあったそうです。またファイバー製の塵取りや竹製のスコップ、陶製のアイロンなどもありました。無いものは無いものとして工夫を凝らし、日々の生活を補っていたのですね。やむを得ない状況下で作られたものではありますが、竹で編んだランドセルはおしゃれに思うほどで、創意工夫の素晴らしさを感じました。


体験コーナー


体験ひろば、左端が井戸ポンプ(手押し)、右がバケツ


常設展示室の出口近くには、写真のような体験ひろばがあります。

これは井戸ポンプ(手押し)と満杯にしたバケツの重さを体験できるコーナーとなっていて、実際にやってみたらとても大変でした。

1つのバケツを満杯するのですらそこそこ疲れるのに、家族で生活するためには何杯も満たさないといけません。更には井戸から家まで、満杯となったバケツを運ばなければならず、へとへとになること間違いなしです。


そのほかにも体験コーナーがあり、7階では防空壕や空襲のサイレンを体験することができます。実際にこれらを体験することがない平和な時が続くことを願ってやみませんが、当時の労苦を少しでも経験してもらえればと思います。


サザエさん?!



リス印人造バターのポスター

これぞ昭和!の味わいのサザエさんを用いたポスターがありました。テレビで見る現在のサザエさんの画風とは全く異なり、新鮮にも感じます。ちなみに「人造バター」とは「マーガリン」のことを指すそうです。


参照:株式会社ADEKA創立100周年サイト

ADEKA100周年www.adeka.co.jp


最後に

戦争で強いられた苦しい国民生活の様相は、教科書などで文字で知ることと、実際に物を見て体験することとではかなり違うと思います。昭和館でこそ知れることが多くありますので、皆さんもぜひ行ってみてください。

※常設展示室は防空壕体験と体験ひろばを除き撮影禁止です。

(今回は取材のため特別に許可をいただきました。)


インフォメーション

住所:〒102-0074 東京都千代田区九段南1-6-1 昭和館

アクセス:地下鉄「九段下」駅4出口から徒歩1分(東京メトロ東西線・半蔵門線、都営新宿線)、JR飯田橋駅から徒歩10分

開館時間:午前10時~午後5時30分(入館時間は午後5時まで)

休館日:月曜日(祝日または振替休日の場合開館、翌日休館)

常設展示室入場料:65歳以上 ¥360

大人 ¥400

高校・大学生 ¥200

小・中学生   無料

※7F-6F常設展示室以外のフロアは入場無料

見学所要時間(アンバサダー調べ):45分(映像資料室・図書室の利用時を除く)


昭和館 - 昭和館は、国民が経験した戦中・戦後の国民生活上の労苦を後世代に伝えるのを目的とした、東京都千代田区九段南にある日本の国立博物館です。実物資料の常設展示をはじめ、特別企画展や図書・映像・音響資料の閲覧事業を実施しています。昭和館は、国民が経験した戦中・戦後の国民生活上の労苦を後世代に伝えるのを目的とした、東京都千代田区九段南にある日本の国立博

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